病気という名の先生

潰瘍性大腸炎になり健康に目覚め、医者に頼らずに生きていく事を決心

潰瘍性大腸炎に用いられる一般的な治療法

  

f:id:musclesamuraiK:20180417030116j:plain

 

この記事は潰瘍性大腸炎についての記事の続きで、今回は一般的な潰瘍性大腸炎の治療法を紹介したいと思います。

 

関連記事

www.muscle-samurai.xyz

 

 

潰瘍性大腸炎の治療法

 

潰瘍性大腸炎は厚生労働省から「難治性疾患」として認定されており、治療法のマニュアルが存在します。

 

しかし「難治性疾患」とされているので治療というよりは下痢や血便、炎症などの症状に対しての「対処療法」という方が近いかもしれません。

 

この記事で紹介するのは西洋医学の治療法ですが、西洋医学は対処療法としてはとても強力ですぐに症状を抑えることが可能ですが、その分副作用も強力なので、副作用も合わせて通常病院で行われる治療法を紹介したいと思います。

 

 

 

薬物療法

 

f:id:musclesamuraiK:20180413173239j:plain

 

潰瘍性大腸炎やクローン病などの「炎症性腸疾患」には、「アミノサリチル酸製剤(5ASA製剤)」が薬物治療の基本薬として使われます。

 

これは活動期(再燃)にある腸粘膜の炎症を抑えて緩解状態へと導く薬として、症状が軽度~中等度の患者に対して使われます。

 

再発を防ぐ効果もあり(といわれており)、緩解期の患者さんの状態維持の薬としても使われます。

 

日本では2種類のアミノサリチル酸製剤が使われています。

 

 

サラゾスルファピリジン(SASP)

 

  • 商品名:サラゾピリン
  • 効果:経口(口からの摂取)で服用しても胃や小腸では吸収されずに大腸まで届き、そこで腸内細菌によってスルファピリジン(SP)とアミノサリチル酸(5ASA)に分解されます。 SPは大腸から吸収されますが、5ASAは大腸からもほとんど吸収されず、直接炎症の起こっている粘膜に対して効果を発揮します。
  • 投与方法:経口薬と座薬があり、直腸に病変がある場合には経口薬と座薬を並行して使います。
  • 副作用:発疹やかゆみなどの皮膚症状、食欲不振・嘔吐・むかつきなどの消化器症状、頭痛発熱、めまい、肝機能障害、男性不妊(精子数の減少・運動低下・形態異常など)、貧血や白血球減少症などの血液障害などがあります。 これらは使用者の5~10%にあらわれるとされていて、服用を中止して3ヶ月ほどで正常状態に戻ります。

 

 

メサラジン

 

サラゾスルファピリジンの副作用の大部分はSPによって起こるため、5ASAだけを腸管に送る開発された薬です。

 

簡単にいうと効果は残しつつ副作用を解消する為に作られた薬です。

 

  • 商品名:ペンタサ
  • 効果:胃では溶けずに小腸から大腸に渡って徐々に溶けて効果を発揮します。 そのため小腸に多く病変のでるクローン病の治療にも使われます。サラゾスルファピリジンと同じ効果を潰瘍性大腸炎に対して出すには、1.5倍の量のペンタサが必要とされます。
  • 投与方法:経口薬と座薬があり、下行結腸から直腸までの左側大腸の病変に効果を高めるため、肛門からの注腸が行われることもあります。
  • 副作用:副作用を改善する為に作られた薬なので起こる頻度は少ないですが、それでも全く起こらないわけではありません。 副作用としては、発疹やかゆみなどの皮膚症状、食欲不振・嘔吐・むかつきなどの消化器症状、肝炎、膵炎などで、男性不妊は無くなりました。

 

私が薬を飲んでいた時は最初にサラゾピリンを処方されましたが、飲んで1ヶ月程で白血球と肝臓機能の数値に異常が出て、それからペンタサを処方されるようになりました。

 

副作用が出た時には、「こんな薬一生飲めるか!」と思い、この出来事は自分で潰瘍性大腸炎を治そうと決めた一つのキッカケになりました。

 

 

副腎皮質ステロイドホルモン(ステロイド薬)

 

早く確実に炎症抑制効果を発揮するため、中等度~重症の潰瘍性大腸炎の中心的治療薬となっており、軽症~中等度の場合でもアミノサリチル酸製剤では効果が無い場合に併用されることがあります。

 

即効性がありますが、副作用が強い事でも有名です。

 

したがって、ステロイド薬は原則として活動期のみ短期間に使用し、効果が出てきたら徐々に使用量を減らして最終的には投与を中止します。

 

  • 主に使われるステロイド薬:プレドニゾロン、ベタメタゾン
  • 効果:腸粘膜の炎症や免疫反応を抑える作用があり、腸管(小腸・大腸)以外で起こっている目の症状、関節炎、皮膚症状などの全身合併症も軽減させる効果があります。病変の範囲と重症度によって投与方法や量を使い分けます。
  • 投与方法:座薬、注腸、経口、静脈・動脈からの点滴、の4種類があります。
  • 副作用:ステロイド薬の副作用は使われたステロイド薬の総量によって異なり、長期間、大量に使うほど副作用が出やすいため、総投与量を常に考慮しながら使う必要があります。 一般的な副作用:ムーンフェイス(満月のような顔のむくみ)、ニキビ、食欲亢進(異常な食欲)と体重増加、多毛、不眠など、長期間、大量使用時の副作用:骨粗鬆症(こつそしょうしょう)、大腿骨頭壊死(太ももの骨の先端の組織や細胞が局部的に死ぬ病気)、筋力低下、感染症、消化性潰瘍、血栓症(血管内に血の塊ができる病気)、糖尿病、精神神経症状(うつ症状など)、白内障・緑内障など数えればキリが無いほどの副作用があります。

 

 

免疫抑制剤 

 

前述した3種類の薬の効果があらわれない難治性の場合や、ステロイド薬の減量・中止で症状が悪化した場合などに使われます。

 

使い方としては急性期に短期間の使用としていて、長期間の使用については検討が必要とされています。

 

免疫抑制剤が潰瘍性大腸炎に使われる理由として、潰瘍性大腸炎が自己免疫疾患(自己の免疫が自分を攻撃する病気)と考えられているからです。

 

こちらの記事で詳しく述べています

潰瘍性大腸炎の原因や症状についてわかりやすいようにまとめました。 - 病気という名の先生

 

  • 主に使われる免疫抑制剤:アザチオプリン、メルカプトプリン、シクロスポリン、タクロリムス
  • 効果:病気に対して体が強く反応するのを抑える目的で使われ、効果があらわれるのに1~3ヶ月かかります。
  • 副作用:その名の通り免疫を抑制するので、免疫力が下がります。なのでステロイド薬以上に慎重に使用しなければなりません。 副作用としては:白血球減少・血小板減少・貧血などの血液障害、食欲不振・嘔吐・むかつきなどの消化器症状、感染症、肝機能障害、膵炎、悪性新生物(ガン)の発症などがあります。

 

 

 

栄養療法

 

 

生きるためには栄養が必要ですが、潰瘍性大腸炎は大腸の病気なので炎症が起きている時に食事をすると悪化してしまう可能性があります。

 

重症度によって栄養摂取の方法が分かれており、栄養療法としては以下の3種類があります。

 

  • 食事療法:病院で指導されている食事療法は、高糖質・高タンパク・高ビタミンで消化・吸収のよい低残渣食(ていざんさしょく:胃腸に負担をかけないように調整した食事の事)です。 食物繊維の多い野菜、脂肪の多いもの、刺激の強いものや極端に冷たいものなどを避けるように指導されます。
  • 経口栄養療法:重症患者には栄養状態改善のため、当初はNASAの宇宙飛行士の食事の為に開発された、ED(エレメンタル・ダイエット)というドリンクタイプの栄養剤が使用され、食事はとらず、このドリンクからのみ栄養を摂ります。
  • 中心静脈栄養療法:経口での栄養摂取が一切できないようになってしまったら、中心静脈栄養といって生きていくのに必要な栄養素を全て点滴からまかなうようになります。

 

 

 

白血球除去療法(LCAP)

 

 

白血球除去療法は潰瘍性大腸炎の新しい治療法として日本で開発され、ステロイド薬や免疫抑制剤に比べて副作用が少なく、2001年からは健康保険も適用されています。

 

治療の目的は、前述したとおり潰瘍性大腸炎は自己免疫が関わる病気だとされていているので、血液中の免疫を担当している白血球(顆粒球、リンパ球、単球、マクロファージなど)を減少させて過剰な攻撃を抑えようという療法です。

 

具体的な治療法としては、静脈から採取した血液を体外循環器を通し、フィルターで白血球成分を除去して再び体内に戻すという方法です。

 

白血球が除去されても骨髄から新しい白血球が動員されるので、白血球不足に陥ってしまう心配はありませんし、白血球だけを選択的に除去するので、赤血球や血小板などの他の血液成分への影響はほとんどありません。

 

さらに、骨髄から動員された血液細胞は、腸粘膜を再生するようにはたらくとされています。

 

治療の頻度としては、通常1回1時間の週1回ペースで行い、緩解期には毎週行う必要は無く、治療を行う日のみの短期入院が可能です。

 

「白血球除去療法」とは別に、白血球中の顆粒球のみを取り除く「顆粒球吸着療法」という治療法も行われ、どちらを行うかは血液検査から判断され、顆粒球吸着療法にも健康保険が適用されています。

 

副作用としては一時的な頭痛があるぐらいで他に目立った副作用は無いとされています。

 

 

 

外科的治療

 

f:id:musclesamuraiK:20180417001627j:plain

 

薬の副作用が強いなどの理由で内科的な治療が難しかったり、重篤な合併症を起こしたりした患者さんには手術が行われる場合があります。

 

手術が適応となるのは潰瘍性大腸炎の患者の全体の約10~20%です。

 

手術の対象となる病状を潰瘍性大腸炎では、「絶対的適応」「相対的適応」とに分けます。

 

 

絶対的適応 

 

手術を行わないと命にかかわる状況で、以下のような合併症がある場合をいいます。

 

  • 穿孔・・・大腸の壁に穴があいて大腸の内容物が腹腔(腹膜に囲まれていて臓器の無い空間)内に漏れ出してしまう状態です。 穿孔になってしまった場合の死亡率は40%とかなり危険な状態です。
  • 中毒性巨大結腸症・・・激しい炎症のために腸管の動きが麻痺し、腸が風船のように膨らんでしまいます。 膨らんだ腸の壁は薄くなるため破れやすく、穿孔の一歩手前の状態になり、発熱や腹痛などの全身症状も伴います。 放置すると穿孔か大出血に移行します。
  • 大出血・・・腸の血管が露出して出血したり、腸壁全体から染み出るように出血し、1日の出血量が1000㎖にも達します。 出血がなかなか止まらないため、貧血が悪化したり、栄養も流れ出てしまうために栄養障害が起こります。
  • 大腸ガン・・・潰瘍性大腸炎を発症してから10年以上経った患者さんは定期的に検査をし、ガンが見つかった場合には手術が行われる可能性があります。
  • 全大腸炎型で重症になっている場合も手術が必要になります。

 

 

相対的適応

 

  • 病気が難治性・・・ステロイド薬の副作用によってこれ以上投与できなかったり、効果が無い場合、すでにかなりの量を使用していてこれ以上使用すると重い合併症が起こる可能性が高くなる場合に手術がすすめられます。
  • 腸管外合併症がある場合・・・壊疽製膿皮症(えそせいのうひしょう:皮膚が剥けて潰瘍化し、広くただれる)や歩けなくなるほどの関節炎などは腸管(小腸・大腸)の病変と関係するために手術がすすめられます。 腸管を切除すると合併症も治ります。
  • 腸管合併症がある場合・・・瘻孔(ろうこう:腸管から他の臓器に向かって穴があく)や腸管の狭窄(腸が狭くなって内容物が通過しづらい状態)にも手術がすすめられます。

 

 

主に行われている手術

 

f:id:musclesamuraiK:20180406003741j:plain

 

現在潰瘍性大腸炎の手術は世界的な主流として「回腸嚢肛門吻合術(かいちょうのうこうもんふんごうじゅつ)」が行われています。

 

どのような手術かというと。

 

  • 1.大腸の直腸の肛門寄りの部分以外は全て切除する。
  • 2.小腸の回腸の一部を折り曲げ、その先端を回腸に縫い付けて閉じ、折り曲げた内側の重なった部分を開いて袋状にする。 これを回腸嚢といって便をためていた直腸の代わりとなります。
  • 3.回腸嚢の角の部分に穴をあけ、肛門につないで管にする。 肛門括約筋(肛門の開閉をコントロールする筋肉)の機能は残すので自分の肛門から排便できる。

 

術後の効果としては、炎症のある大腸を全て切除するので潰瘍性大腸炎で苦しむことは無くなります。

 

排便に関しては、最初のうちは便が泥状で下痢が頻繁に起こります。

 

しかし時間が経つにつれて身体が徐々に慣れていき次第に形のある軟らかい便になっていきます。

 

排便回数は、術後早くて3ヶ月、遅くても半年から1年ほどで1日5回程度に落ち着きます。

 

手術前との決定的な違いとしては、便意が我慢できるようになることです。

 

手術前は直腸の炎症のせいで、便意がある時に止められずに失禁してしまうことが多くなってしまうのが、術後は調節できるようになります。

 

 

 

まとめ

 

 

  • 薬物療法としてペンタサやサラゾピリンなどの腸粘膜の炎症を抑えるアミノサリチル酸製剤、副作用は強いが炎症を抑える即効性のあるストロイド薬、それに免疫力を下げることで症状の悪化を抑える免疫抑制剤があります。

 

  • 栄養療法は胃腸に負担のかからないような食事をする「食事療法」、ED(エレメンタル・ダイエット)という栄養剤のみで栄養をまかなう「経口栄養療法」、そして点滴からのみで栄養を摂取する「中心静脈栄養療法」があります。

 

  • 潰瘍性大腸炎は自己免疫疾患(自己の免疫が自分を攻撃する)と考えられているので、からだの免疫を担当している白血球を減らして症状を抑える「白血球除去療法」があります。

 

  • 大出血や穿孔などの放置しておいては死に至るほどまで症状が悪化してしまった場合には、外科的治療として大腸全摘出が行われる。

 

 私の病院での治療経験としてはステロイドと免疫抑制剤以外の薬物療法しか経験がありません。

 

その他の薬物治療は投与し続けると副作用により潰瘍性大腸炎とは別の理由でも大変苦しむことになります。

 

メリット・デメリットをしっかり把握したうえで治療を行うようにしましょう。

 

潰瘍性大腸炎は治る病気です。

 

どうしても必要な時以外はできるだけ西洋医学的な治療には頼らないようにしましょう。

 

そのためには知識が必要です。

 

このブログでは自分で勉強してきたことをシェアして、それが少しでも同じ病気で苦しんでいる人や、家族が病気で助けたいと思っている人の助けになればと思っています。

 

 

こちらでは私が実践している食事療法について書いています。

www.muscle-samurai.xyz

 

 

あなたの健康を願っています。