病気という名の先生

潰瘍性大腸炎になり健康に目覚め、医者に頼らずに生きていく事を決心

潰瘍性大腸炎とは

 

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私が様々な健康に関することについて調べるキッカケとして、潰瘍性大腸炎を患ってしまったからです。

 

この記事では潰瘍性大腸炎がどのような病であるのかをまとめてみたいと思います。

 

潰瘍性大腸炎という病気

 

 

潰瘍性大腸炎は診療ガイドラインでは以下のように定義しています。

 

「潰瘍性大腸炎は主として粘膜を侵し、しばしばびらん(ただれ)や潰瘍を形成する大腸の原因不明のびまん性非特異性炎症である」

難病情報センター | 潰瘍性大腸炎(指定難病97)

 

さらに潰瘍性大腸炎は特徴として、「経過中に再燃(症状の悪化)と緩解(症状が治まる)を繰り返すことが多く、腸管外の合併症(1つの病気が原因で起こる他の病気)が生じることがある。長期かつ広範囲に大腸を侵す場合にはガン化の傾向がある。」としています。

 

潰瘍性大腸炎を発症してしまった人は、生活していく中でこの再燃と緩解を繰り返します。

 

再燃して症状が酷くなった時は激しい腹痛と血便が止まらなくなりますが、緩解の時はそれまでの症状が嘘だったかのように治まります。

 

 

潰瘍性大腸炎の分類

 

潰瘍性大腸炎には先に述べたように活動期と緩解期に分類されます。

 

活動期では「血便などの症状がみられ、内視鏡で観察すると炎症が認められる」となっており、

 

緩解期では「血便などの症状はなく、内視鏡の観察で炎症が認められない」となっています。

 

4つの臨床経過(その病気と診断してからの病状の経過)による分類もされていて、

 

  • 「再燃緩解型」=再燃と緩解を何度も繰り返す
  • 「慢性持続型」=最初の発症から6ヶ月以上活動期にあり緩解期がみられない
  • 「急性劇症型」=激烈な症状で発症し、重篤な合併症を伴う
  • 「初回発作型」=発作が1回のみで再燃緩解型になる可能性のある

 

と症状の発生の仕方で分かれています。

 

 

 

病変範囲と重症度の分類

 

 

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潰瘍性大腸炎は大腸での病変(その病気が原因となって起こる生体の変化)の範囲と重症度でも分類されており、範囲では、

 

  • 直腸炎型(病変が直腸のみ)
  • 遠位大腸炎型(病変が直腸とS状結腸)
  • 左側大腸炎型(病変が大腸の脾湾曲部から肛門側)
  • 全大腸炎型(病変が大腸全体)

 

 の4タイプに分類されていて、私は全体腸炎型で、大腸全体が炎症を起こしていました。

 

重症度は、

 

  • 軽症・・・1日4回以下の排便回数でわずかな血便があり、全身症状は伴わない
  • 中等・・・軽症と重症の中間
  • 重症・・・1日6回以上の排便回数で、明らかな血便、発熱、貧血、頻脈などの全身症状を伴う 
  • 劇症・・・・重症からさらに1日15回以上の血性下痢、38度以上の高熱、白血球数の異常を伴う

 

 

と分類されています。

 

 

潰瘍性大腸炎の症状と合併症

 

 

潰瘍性大腸炎の症状として最初は、「下痢」でトイレに行く回数が増え、それが続く日が長くなり、それから血の混じった「血便」へと変化をしていきます。

 

再燃緩解型ではこの症状が繰り返されます。

 

症状が進んでいくと、便に膿や粘液が混じった「粘血便」になり、「下腹部の痛み」も起こるようになります。

 

さらに症状が酷くなると「発熱」「吐き気」「嘔吐」「体重減少」、「頻脈(心拍数の増加)」、それに腸からの出血が長期間続いたことによる「貧血」も起こる可能性があります。

 

急性劇症型の症状では、「大出血(1日の出血量が1000㎖に達する)」「穿孔(大腸の腸壁に穴があく)」「中毒性巨大結腸症(後述)」、などが起こり、こうなってしまうと緊急手術が必要で、最悪大腸の全摘出となってしまいます。

 

ただしここまで症状が酷くなるのは少数で、潰瘍性大腸炎を患っている大部分の人は再燃緩解型です。

 

したがって、これよりも症状を悪化させないように注意して生活することが重要になってきます。

 

 

潰瘍性大腸炎との合併症

 

潰瘍性大腸炎は、他の消化管では合併症による炎症が起こりませんが、腸とは関係のない部位に起こる、「腸管外(全身性)合併症」腸管そのものに合併症を起こす、「局所合併症」を引き起こす可能性があります。

 

「腸管外合併症」

 

  • 関節炎・・・もっとも多く見られる合併症で、肘や膝などの大きな関節が病気が活動的な時には悪くなることがあり、患者の約10%にみられるそうです。

 

  • 皮膚症状・・・ビタミンの欠乏による「口内炎」や、結節性紅斑(しこりのある赤い発疹)など

 

  • 眼症状・・・「虹彩炎」、「ブドウ膜炎」、「結膜炎」など
  • 肝機能障害
  • 腎障害

 

など様々な全身性の合併症がみられます。

 

「局所合併症」

 

  • ポリポーシス・・・腸管にポリープがたくさんできる
  • ガン性変化・・・緩解と再燃を長期間繰り返すことによって、一部にガンができる可能性がある
  • 膿瘍(のうよう)・・・膿の塊ができる
  • 大腸の狭窄(きょうさく)・・・腸管が狭くなる
  • 中毒性巨大結腸症・・・激しい炎症により腸管の動きが麻痺し、腸が風船のように膨らんで腸壁が薄くなる
  • 穿孔・・・腸壁に穴があく

 

などの症状がみられます。

 

 

症状を悪化させる要因

 

緩解状態の人でも、再燃しやすくなってしまう要因をいくつか紹介したいと思います。

 

  • 精神的因子・・・ストレス、心配、悩み、過労、睡眠不足
  • 食事因子・・・消化の悪いもの、乳製品、刺激の強い食べ物
  • 薬物因子・・・市販の風邪薬

 

潰瘍性大腸炎を患っている人が風邪を引いたからと市販の風邪薬を飲んだ際にも症状が悪化する場合がありますし、潰瘍性大腸炎の薬物療法を行っている人は、飲まないに越したことはないですが、他の薬を摂取する際にはあらかじめ医師に相談しておいてからにしましょう。

 

 

 

潰瘍性大腸炎の原因

 

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潰瘍性大腸炎の原因はまだはっきりとは解明されていません。

 

潰瘍性大腸炎が日本で最初に公表されたのが1928年で、その当時はわずか10例ほどでしたが、1980年には全国で4000例以上確認されるようになりました。

 

この時で発症の頻度は欧米の10分の1でしたが、現在では20万人近くに増えており、現在難病指定されている疾患の中で、日本で最も多い難病になりました。

 

食生活が欧米化してきた頃から急激に増え始めたので、これが大きな原因の1つとして考えられています。

 

ドイツでは、「マーガリンなどの自然界には存在しないトランス型脂肪酸が腸の病気を引き起こす原因となっている可能性がある」という論文も発表されています。

 

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現在原因として最も有力な説が、「免疫異常説」で、通常なら外界から侵入してきたり、からだの中で生成された異物を排除するはずの免疫機能が、なんらかの原因で異常にはたらき自分のからだを攻撃して傷つけてしまう現象です(このような病気を「自己免疫疾患」といいます)

 

これには大きくストレスが関わっているとされており、最新の研究ではストレスによる自律神経の乱れが免疫機能に異常をきたす可能性が明らかになってきているそうで、免疫の主役である白血球は、自律神経によって調整されていることが解明されているからです。

 

少し専門的になりますが、もう少し詳しく説明します。

 

自律神経には、活動時に優位になる「交感神経」と、休息時に優位となる「副交感神経」の2種類があります。

 

上記の通り自律神経は白血球のはたらきを調節しており、また、白血球には交感神経が優位になると増えて活性化する「顆粒球(後述します)」と、副交感神経が優位になると増える「リンパ球」があります。

 

リンパ球はウイルスなどを処理し、顆粒球は細菌などの大きな異物を処理する細胞で、化膿性の炎症を起こして細菌感染を治癒させるはたらきがあります。

 

そして役割を終えると顆粒球は粘膜上活性酸素(細胞を傷つけからだに様々な害を及ぼす)を放出しながら死んでいきます。

 

顆粒球の割合が54~60%、リンパ球の割合が35~41%が健康的な状態とされていて、この比率が乱れた状態が続くと、免疫力が低下して病気が発生すると考えられています。

 

 心身にストレスがかかると主に交感神経が優位になり、副交感神経のはたらきが抑制されることで自律神経のバランスが乱れていきます。

 

交感神経が優位になることで血液中の顆粒球が増え、この顆粒球が死滅する際に放出される活性酸素が過剰に増えたことで組織破壊が進み、ウイルスを除去するリンパ球は不足し、病気となってしまいます。

 

この理論は福田‐安保理論 と呼ばれ、潰瘍性大腸炎もストレスなどが原因で交感神経が優位となり、増加した顆粒球が死滅する際に放出される活性酸素によって大腸の粘膜が攻撃され、破壊されることによって起こると考えられています。

 

実際に潰瘍性大腸炎の患者の血液を調べると、正常範囲を大幅に超えた顆粒球が認められるそうです。

 

また、症状を抑える際に使われるステロイド薬や消炎鎮痛剤などには交感神経を優位にするはたらきがあるので、薬の使用によって一時的に症状が治まっても、交感神経が優位な状態が続き、再び症状が悪化してしまうという悪循環が続いてしまいます。

 

私がステロイド薬の使用を担当医師にすすめられた時にはまだこのような知識はありませんでしたが、ステロイド薬を使わなくても大丈夫な病状(それでも医師は使わせようと促してきました)だったので、すすめられた時にはいつも拒否をしていて、これを知った時には本当にあの時使わなくてよかったと思いました。

 

私は食事の欧米化もこの免疫異常説に関わっていると思っていて、過剰に摂取したタンパク質が未消化のまま血液に吸収され、それが免疫異常を引き起こす可能性があるからです。

 

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それから私は肉や魚を食べる量がかなり少なくなりました。

 

 

 

潰瘍性大腸炎の診断までの流れ

 

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潰瘍性大腸炎の診断は、まずは「血性下痢」や「粘血便」の持続性・反復性の有無、「貧血」、「体重減少」がみられるか、腹部の診察や直腸診察による身体所見(医師の五感による診察)から行われます。

 

他にも「感染症腸炎」や「薬剤起因性腸炎」などでも似たような症状がみられることがあるため、直近の海外渡航歴や服薬歴、喫煙の有無や家族歴などを聴取されます。

 

次に血液検査や尿検査によって炎症や貧血の度合い、栄養状態を調べます。

 

それから「大腸内視鏡検査(先端にカメラの付いた管を肛門から挿入し、大腸内部の粘膜を画面上で観察・撮影する検査)」を行い、腸の状態や病変の範囲などを確かめます。

 

今は主にこの内視鏡検査で腸の観察を行うことに比重が行われていますが、内視鏡検査と臨床(実際の医師の診察)による所見とが食い違っている場合や、腸管が狭まっていて内視鏡を入れるのが困難な場合には、「注腸造影検査(肛門からバリウムなどの造影剤を注入してX線撮影を行う検査)」が行われます。

 

X線検査は症状の悪化を招く場合があるので、症状の酷い人への検査の際は、造影剤にステロイド薬を入れるなどの配慮が必要となります。

 

 さらに、似たような症状をもつほかの病気の可能性を除外していくために、細菌学的検査や寄生虫学的検査も行われます。

 

このような様々な検査を経て潰瘍性大腸炎と診断されたら、病変範囲や重症度が分類されます。

 

私も最初に検査をした際にはたくさんの検査をされ、病気の診断までにかなりの日数がかかったのを覚えています。

 

 

 

まとめ

 

  • 食の欧米化がすすんだのと共に、潰瘍性大腸炎は年々患者数が増えています。

 

  • 潰瘍性大腸炎は活動期と緩解期に分類され、緩解期には症状が再燃(悪化)しないような生活を心がけなくてはなりません。

 

  • 活動期には下痢や血性下痢、粘血便がでるようになり、酷くなると腸壁に穴があいたり、大出血をする可能性がありますし、そこまで酷くならなくても、長期に渡って症状がある場合には大腸ガンを併発する可能性もあります。

 

  • 潰瘍性大腸炎の原因としては、食の欧米化による食生活の変化による「食事による要因」、ストレスによって交感神経が刺激され、そこで過剰に増えてしまった白血球の中の顆粒球によって腸の粘膜を傷つけ、破壊されることによって起こる「免疫異常」と考えられています。

 

  • 潰瘍性大腸炎と診断されるまでには様々な検査が行われ、似たような症状をもつ他の病気の可能性を排除したうえで確定されます。

 

この記事が、もし潰瘍性大腸炎と診断されてしまった人や、その人の家族のお役に少しでも立てばと思います。

 

こちらでは一般的な潰瘍大腸炎の治療法について書いています。

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あなたの健康を願っています。